捻挫の解決策が「固定」「安静」「湿布」だったのは昭和の話。
今は損傷部位に合った施術を行うことで早期解決しやすい状況になりました。
靭帯損傷のイメージが強いですがそれ以外が痛みの原因になっていることが多く、安易な固定やテーピングは症状の長期化を起こす原因にもなります。
情報がかんたんに手に入り、様々なことが進化している現代で施術方法だけが昭和のままなんておかしいと思いませんか。
足首捻挫のメカニズム
捻挫とは「関節に非生理的な外力が加わり発生する靭帯・関節包・皮下組織の損傷」と定義されています。
病態は3段階に分類されています。
- 第1度:関節包・靭帯が引き伸ばされた状態で関節不安定性が殆どないもの(軽度)
- 第2度:関節包・靭帯の部分断裂で、関節不安定性が中等度なもの(中等度)
- 第3度:関節包・靭帯が完全損傷され、著しい関節不安定性があるもの(重度)
損傷外力は、「捻挫した肢位と足首の角度」「捻挫肢位の持続時間」の2つが大きく関わっています。
一瞬でも捻挫肢位が過剰であれば靭帯断裂を起こす場合があります。
靭帯損傷以外にも骨膜損傷・剥離骨折・肉離れを起こす場合があります。
靭帯の機能と働き
靭帯は骨と骨を繋ぎ関節の安定・強化・保護・制限を行っています。
筋肉と違い収縮力がなく、弾性力と若干の伸張力があり、引っ張ると徐々に伸張し関節構造の破綻を食い止めます。
引っ張りが収まると伸張を解消しますが、伸張が継続すればするほど靭帯にかかる荷重は増加し、最終的に靭帯は限界を迎え断裂します。
靭帯は伸張方向への対応は強く、剪断力に対する対応に弱い構造です。
そのため、関節の動作制限を靭帯に依存している足関節は損傷しやすい構造体になっています。
※靭帯の持続的伸張が捻挫後に継続していることを「靭帯が伸びている」といいます。
足首捻挫と靭帯
足首捻挫の殆どが内返し捻挫で、外くるぶし周囲に付着している前距腓靭帯・踵腓靭帯・後距腓靭帯の外側靭帯(総称名)が影響を受け発症します。
重要なことは、捻挫による損傷を受ける部分は外くるぶし周囲の靭帯・関節包・皮下組織だけではないことです。
足首を捻ると下肢全体に衝撃波の影響が及びます。
患部以外の修復を軽視していると、症状がなかなか取れない場合や再発を繰り返すことになります。
捻挫による炎症
捻挫により損傷部位に炎症反応が出現します。
炎症反応は発赤・熱感・腫脹・疼痛の四徴候と、これらにより引き起こされる機能障害です。
外くるぶし周囲の靭帯・関節包・皮下組織の損傷が起こった場合には視覚で炎症反応が確認しやすい場合が多いですが、それ以外の部位は明確な炎症反応が確認しにくく、処置が遅れる場合があります。
その他にも、関節内炎症は体表面上に異常が確認されない場合があります。
足首捻挫の処置
足首捻挫に関わらず炎症反応がある部位に関してはRICE処置が有名ですが、現状把握が不十分だと悪化する場合があります。
発赤・熱感には、アイシングによる修復の邪魔になる余分な熱感を取り除くことをおすすめします。
腫脹の軽減のため、テーピング・包帯など固定具による患部の圧迫は修復を遅延させる要因にもなるため、発症直後はおすすめしません。
まず処置が必要なのは関節のズレ
捻挫による損傷後にまず行うことは足関節(特に距骨と腓骨)のアライメントの再構築です。
歩行障害が起こる最大の要因は、関節が正常な位置で機能的な働きができていないためです。
捻挫の根本的原因はレントゲンでは確認できず、アライメント異常も画像に写りません。
もし画像に写る程の関節アライメント異常が確認される場合、亜脱臼や脱臼に該当します。
足周囲には細かい関節が多くあり、すべてが連動しています。
靭帯損傷が起こる程の外力がかかった後、勝手に正常に戻ることは稀で、捻挫癖が起こりやすい理由の1つでもあります。
足首捻挫のアライメント不良を軽視していると、身体のバランスをとる足首の中心をなす距骨の安定性が低下し、脚の機能変化や全身の歪みに発展します。
痛みが取れた後でも、「正座がしにくい」「足首が固まる」「たまに捻る」などの症状が残る場合、根本的なアライメントの問題が解決していない可能性が高いので、施術を受けることをおすすめします。
関節のズレが解消すると、どんどん歩けます
アライメント調整は専門家の施術が必要ですが、1度受けるだけでも修復が促進し、靭帯が引き伸ばされたテンションを無くすことができます。
まずは荷重をかけてしっかり立つことを目指しましょう。
庇わず立つことができれば、余計な腫脹・熱感・疼痛も軽減し、修復が促進され、歩くことができるようになります。
関節は適度な荷重と運動が回復には必要です。
安静や固定するよりも集中的に施術し、どんどん動かしていくことが早期回復と再発予防につながります。
エコーによる視覚化と有用性
当院には関節周囲の骨・靭帯・腱・炎症などを診るための診断機器エコーを完備しています。
そのため、来院当日からリアルタイムで患部の状況を確認し、腫脹・発赤・熱感の原因となる炎症部位が判断できます。
患部の状態を曖昧にせずに、しっかりとらえ、今は何をするべきなのかを説明し、練習復帰や職場復帰の目途をお伝えしています。
レントゲンやMRI、エコーでも足関節の微妙なズレを確認することは残念ながら不可能ですが触診や関節の動きを確認することで微妙なズレは画像だけに頼らない、施術家の感覚の見せ所です。
整形外科で骨に異常が無いと言われた場合は「骨折していない」と捉え、骨以外の状態を確認し処置する必要があります。
足首捻挫解消に必要な自然治癒力の活性
足首捻挫は現状把握を行い、距骨・腓骨を含む足関節のアライメントを正常化していくことで炎症がスムーズに解消します。
身体の支持力が正常な場合、事故やスポーツによる接触以外で足首捻挫が起こる可能性は非常に稀だと考えられています。
足首捻挫の処置を期に、日常生活動作による身体の癖と歪みに気づくチャンスです。
どんな姿勢が身体に負担をかけているのかしっかり説明していますので、無理はせず今できる動きから再構築しましょう。
足首捻挫や足首の痛みでお悩みの方は、ぜひ当院へご相談ください。
ちはや鍼灸接骨院のご案内
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