変形性関節症の原因とメカニズム
「変形が原因で痛みが取れない」「変形は治らないから付き合っていくしかない」と思われている方からの不安の声を頂きます。
現在は色々な情報がインターネットを通して手に入るので、何を信じて改善させていくかも非常に迷うことだと思います。
当院では変形性関節症のメカニズムを少しでも知って頂き、改善する為のイメージを持ってもらえたらと考えております。
目次
変形性関節症の定義
変形性関節症は軟骨下骨の肥厚と、関節辺縁部の骨棘形成、軽度の慢性非特異性滑膜炎症を伴う関節軟骨の緩徐な消失を生じる疾患の事を指します。
変形性関節症の病態
病態としては、関節軟骨の代謝異常(細胞産生の低下と細胞分解の亢進)と軟骨破壊の進行です。
この進行の過程で発生する関節軟骨周囲の骨棘は修復メカニズムが関与しています。
この関節軟骨の破壊は軟骨基質(マトリックス)の変性と低分子の結果生じるモノです。
変性性関節症に関与する関節構成物質
- 関節軟膏
- 滑膜
- 骨
- 酵素
- 炎症性サイトカイン
[関節軟骨]
最も重要な関節構成体であるのは、関節軟骨です。成人の関節軟骨は血管、神経、リンパ管なく、70%が水分です。
[滑膜]
滑膜は関節運動により、関節内に生じた軟骨代謝産物の処理に関与する重要な役割を担っている一方、豊富な毛細血管とリンパ組織の存在により、関節リウマチを含む炎症性疾患においては炎症の場所となります。
[関節液]
滑膜の中には高分子ヒアルロン酸を含有した粘稠性のある滑液(関節液)が分泌されていて、関節軟骨間の滑膜と関節軟骨細胞への栄養補給などの代謝に関与しています。
現在、関節内へのヒアルロン酸の注入は変性性関節症の改善には効力が殆どない事が分かっています。
変形性関節症になりやすい部位
- 脊椎
- 手関節
- 手指関節
- 股関節
- 膝関節
- 足関節
- 足指関節
これ以外の関節が発症しないわけではありません。
手関節・手指関節は巧緻作業や強力な把持動作など、脊椎・股関節・膝関節・足関節・足指関節は荷重によりなりやすいとされています。
関節の部位ごとの変形については他のページに記載しております。
変形性関節症による軟骨の破壊と再生
変形性関節症において、関節軟骨の代謝的障害(軟骨細胞の産生の低下及び分解の亢進)により、破壊が進行します。
この破壊に伴い軟骨の亀裂形成と関節辺縁部の骨棘形成を認めるようになります。
骨棘形成は骨.軟骨の修復機転と考えられています。ただ、関節軟骨は血管やリンパ管がない為、修復能は成人では非常に低いです。
進行が進むにつれて、軟骨下骨の露出や骨硬化や骨嚢胞の形成も出現し、関節変形が高度になります。
変性性関節症の原因
- 肥満による過度の過重負荷
- 関節外傷を始めとする異常な機械的ストレス
- 重量物を取り扱う特定の職業歴
- 発育過程における変形
- 性別(女性)
- 加齢
- 遺伝的要因
その他にもさまざまな多因子要素が関与し発症します。
変形性関節症の症状
- 無症状
- 関節及び関節周囲の疼痛や腫脹
- 運動障害
- 機能障害
変形性関節症の殆どの方は無症状です。
変形による症状と考えるよりかは、変形を含むその他の原因を考えていくことが大切です。
変形性関節症の西洋医学的処置
- 対症療法
- 薬の服用
- ステロイド薬関節内注入
- 装具固定
- 骨棘切除
- 関節固定
- 人工関節置換術
- 靭帯再建術
変形性関節症の当院でのアプローチ
まず考えないといけないのは、現在悩んでいる痛みが、「変形による痛み」なのか、「変形は存在するが痛みの原因は他にある」のかが非常に重要になります。
その点を判断するために徒手検査やエコー(超音波画像診断装置)を使用します。
特にエコーには炎症反応が確認出来るモード(ドップラーモード)がありますので、それをを用いて関節の状況把握をします。
殆どは「炎症反応が無く、変形は存在するが痛みの原因は他にある」ケースが多いです。
炎症反応が長期化している方の来院もありますが、その場合、関節の腫脹は付き物です。
それでも変形が原因の大半を閉める事は殆どなく、炎症自体は関節周囲の靭帯から起こっていることが多いです。
画像で変形を確認した時点から、原因が変形にしかないと決めつけるのではなく、関節の歪みやねじれ、神経の歪みを考え行くことで症状の改善が実感できるようになります。
関節の歪みや捻じれは、関節を軽い力で誘導していくことで安定します。
そんな軽い力で変化が出るので不思議だとよく患者さんに言われますが、関節の構造、全身の構造、皮膚の構造を理解すれば強い力での施術はかえって逆効果になることが多く、改善が長期化する恐れがあります。
くれぐれも痛みのある関節を強烈に矯正したり、強いマッサージを多なうのはお辞めください。