ビフォーアフター⑧
施術前の状況
患者様は、右腕全体にしびれと筋力の低下が見られ、左肩には五十肩の後遺症による腕の挙げづらさ(挙上制限)があります。
特定のヨガのポーズを行うと、右腕のしびれが強くなり、ポーズを中止してもしびれが約10分間持続するとのことです。
また、患者様のご主人が3年前に頸椎の脊柱管狭窄症の手術を受けたものの、症状が完全には回復せず日常生活に支障が残っているため、同じようにはなりたくないと強く感じ、来院されました。
今後もヨガを継続したいという強いご希望があり、予防方法も知りたいとのご要望です。
施術内容
①初期評価とアプローチ
立位での姿勢観察において、右半身に強い緊張と不安定感が見られました。詳しくお話を伺うと、10年以上前に踵骨(かかとの骨)を骨折されており、それ以降、片足立ちが難しい状態が続いていたとのことです。
さらにその後、左肩に五十肩を発症しているため、かかとの骨折が全身に影響を及ぼしている可能性が考えられました。
徒手検査において、腱反射や神経症状に明確な異常は見られませんでした。
以下のような体の状態が確認されました。
- 足首の可動域に左右差あり
- 脊柱(背骨)全体の緊張と骨盤の後傾
- 右前腕の回外制限(手のひらを上に向けにくい)と右親指の過緊張
- 左肩甲骨の挙上(上に引きあがっている)と肩関節の内圧増加
- 体幹の右回旋、頭部の左回旋による全身バランスの崩れ
これらを複数のステップに分けて調整を行いました。
②全身の調整
施術後、左肩の挙上制限は解放され、以前はその動作で右腕にしびれが強く出ていたものの、今回はしびれが出現しませんでした。
これは以下の効果によるものと考えられます。
- 背骨の緊張と骨盤の後傾が改善された
- 頭部と体幹の回旋バランスが調整された
- 関節内の圧力(内圧)が減少した
さらに、足首の可動域の左右差も改善され、片脚立ちが可能となりました。
③最終チェックと今後の観察点
施術後も安静時のしびれは約3割ほど残っている状態ですが、立位・座位・仰向けなど各姿勢でのバランスは整っています。
今後、日常生活の中でどのようにバランスが変化していくかを、次回の来院時に確認する予定です。
また、施術中に内臓の圧力が抜けきらない状態が確認されたため、こちらも次回詳しく確認します。
患者様の感想
原因が自分でも忘れていた踵骨骨折だった事にビックリしました。
日常生活中に両脚で立つ事が少なくなっている可能性があるので意識的に体重を両脚に載せる様に心掛けたい。
改善しそうな感じがあり、嬉しいです。
今後のケア
現在、患者様は毎週ヨガを継続されています。今後も無理のない範囲で普段通りにヨガを行っていただき、
- できたポーズ
- できなかった(またはしびれが出た)ポーズ
を記録・分類していただくようお願いしています。
次回来院時に、それぞれのポーズがどのようなストレスや体への影響を及ぼしているかを確認し、さらに個別にケアの方法を提案していく予定です。