三角骨とは
三角骨とは、距骨の後外側突起部にある副骨のことを指します。
だいたい8歳から11歳ごろに二次骨化核として現れ、一般的にその後1年以内に距骨と癒合して後突起となります。
しかし、14~25%は癒合せずに三角骨として存在し、その中の半数が両側性です。
三角骨の大きさや存在する位置も様々で1個存在するケースもあれば、小骨片が複数存在することも稀ではありません。
※三角骨が存在するだけで、痛みが出現するわけでもインピンジメントが起こるわけでもありません。
スポーツ選手、特にバレーダンサーやサッカー選手に多くみられ、背屈、底屈共に痛みが出現し、底屈時に踵骨と脛骨に挟まれること(足首後方インピンジメント)で強い痛みが出現します。
- バレーダンサー:demi point やfull point時
- サッカー:ボールを蹴る時
痛みの場所をアキレス腱部と訴えることが多く、アキレス腱周囲炎と診断されている場合もあります。
三角骨障害は足首後方インピンジメントの一つ
代表的な足首後方インピンジメント
- Stieda結節(距骨後突起の後方突出)
- 三角骨
- 距骨後突起骨折
- 脛骨後方の天蓋部の後方への落ち込み
- 石灰化遊離体
- Haglund病(踵骨隆起後上部の骨性突出)
- 腓骨筋腱炎
- 長母趾屈筋腱の腱鞘炎
- アキレス腱滑液包炎
- 関節包の肥厚
- 靭帯断裂
上の5つが骨性インピンジメント、下の5つが軟骨性インピンジメントと鑑別されています。
足首後方インピンジメントの中で三角骨障害が最も多く、スポーツ活動や足関節の外傷(捻挫など)により三角骨が上方の脛骨天蓋後縁と踵骨間で繰り返し圧迫されたり、急激な底屈強制を受けたりすることで、骨折や軟骨結合部の損傷が生じて発症すると考えられています。
そして、三角骨内側縁を走行している長母指屈筋腱の損傷や狭窄性腱鞘炎、足関節後方の滑膜炎を併発したり、後方関節包や靭帯(後脛骨靭帯、後距腓靭帯)、屈筋支帯が損傷された後に肥厚して後方関節内に陥入することもあり、継続していくと石灰沈着や粘液変性などの変性所見が認められるようにもなります。
診断方法
- レントゲン
- CT
- MRI
- 関節鏡
[レントゲン撮影]
三角骨インピンジメントの特徴である「nutcracker像」を認めます。[CT画像]
骨片の大きさや位置も確認します。[MRI画像]
骨髄浮腫や関節包の肥厚、関節液の貯留、腱鞘滑膜炎や腱断裂の確認を行います。
レントゲンやCTは骨性インピンジメントの評価には有効で、軟部組織インピンジメントの評価はMRIや超音波画像診断(エコー)が有効です。
画像所見での足首後方インピンジメント鑑別は可能ですが、併発症が多いので画像所見だけでの判断は注意が必要です。
確定診断には、関節鏡の所見も必要とする場合があります。
原因がインピンジメントによるものか、腱鞘炎や滑膜炎によるものかの判断は区別しがたい問題ではあるが、手術か保存療法かの選択に非常に重要です。
整形外科的治療方法
[保存療法]
- スポーツ活動の制限
- 消炎鎮痛薬の投与
- 三角骨周囲の局所麻酔薬
- ステロイド注射
- 温熱療法
- ギプス固定(骨折時のみ)
[手術療法]
- 切開手術
- 後外側進入法
- 内側進入法
- 後内側進入法
[内視鏡手術]
- Ferkel法
- Van Dijk法
昨今は合併症や後遺症の少ない内視鏡手術を行う病院が多いです。
当院に来院された方の症例
上記の写真の患者様ですが、5年で7度の手術をされたそうです。
引っかかりや動きの制限か治らなかったため、当院にお越し頂きました。
手術痕が痛々しいですが、現在は引っかかりも改善しています。
手術前の来院がおすすめですが、手術後で思った改善が見られない場合にも対応しています。
三角骨障害でお悩みの方は、ぜひ当院へご相談ください。
症状の根本改善のために全力でサポートさせて頂きます。